メガネのマツモトBino
の原型であるBORG76Bino(
松本さんのHP
にあります)のフォルムにあこがれ、お手本としながら お気軽星見兼バードウォッチング用に
作りました。横幅のコンパクト化のため 右眼側は
笠井2インチ正立(アミチ)プリズム
、左側は
松本製EMS-EL
を使用した、ハイブリッドBinoです。
(松本さんの話では世界初とのことです。)対物レンズはアクロマートです。
☆鏡筒部
BORG製76mmアクロマート金属鏡筒がベースです。ネジ結合が多くて
光路を短縮しやすい
こと、
伸縮フードを採用
していることで選択しました。
正立デバイスが異なるため、光路消費量が左右で異なります。 焦点位置を揃えると対物レンズの前後位置が28ミリも異なりますが、
この伸縮フードで外観的には左右対称に見えるようにごまかしています。 左の画像はフードをいっぱい伸ばした状態では鏡筒長が異なるのがわかります。
フードを伸ばすと鏡筒長が異なります
☆正立光学系
このBinoは左右の正立光学系が異なるためそれぞれの特色がよく分かります。
右眼側は2インチアミチプリズム
(笠井トレーディング扱い、2007年現在発売終了)はロシア製でマルチコート面に微小な欠陥が多いものの、アミチの直角度、ダハ面のエッジなど
肝心のところは高精度に作られています。 ダハ面による星像の散乱や光条はありますが、非常に良く抑えられています。
プリズムの有効径は44ミリあり、2インチをフルカバーし有害なプリズム内面反射も感じません。
もしもこの大きさでこの精度のプリズムを日本で作ったらいくらになるでしょうか?
アクロマート対物なので70倍では対物による色収差が現れ始めますがそれ以外、プリズムによるの像質の劣化は小さく、
シャープなのはすごいことです。プリズム内を透過することによりアクロマートで生じる色収差にプラスして紫のハロが生じるのがわかります。
左眼側はEMS−EL
効き目なので高倍率での像の劣化が少ないものを採用。 旧タイプのアルミミラーのため、アミチプリズムの全反射と比べると像が若干暗く、
アルミ反射のやや青っぽい色調を感じます。 現在のEMSは反射率が極めて高い
銀ミラー
を採用しているため、アミチプリズムより高い透過率をもっており、
この難点は完全に払拭されています。
詳細はこちら
。
☆視軸合わせ
左右の視軸合わせのため右眼側アミチプリズム上部に
2インチイメージシフト装置
を設計して装着しています。
アミチ側に付けた理由は有効径がEMSが38mmに対し、アミチプリズムが44mmと大きかったためです。
イメージシフト範囲は縦横±1.5mm(画角にして±0.2度弱)しかありませんが、鏡筒側に調整可動部を設けず、
高剛性に固定してしまうことで、経時変化を小さくし十分な範囲に収まっています。
上の画像は
イメージシフト装置
をはずしたものです。下部の調整ベースはステンレス製で対物レンズの側からスプリングヘッド、
手元側の斜め2方向からネジで上部の2インチスリーブを押して3点受けで調整します。
ファインダーのXY調整機構に似ています。上部の2インチスリーブはアルミ製で、3点が当たる部分は食い込む方向に60度のテーパーをつけ、
スリーブが脱落したりガタつかないようにしています。 産業設備では小型CCDカメラのイメージシフターなどによく使われているメカニズムです。
それよりも大型で重量がかかる部分なのでうまく動作できるか心配でしたが、滑り面にグリスを塗ったり3点の先端を丸くしたりして
わりとスムーズで、ガタつきもなく作動させることができました。
(2003年4月5日追記)
☆平行移動台座(パラレルステージ)
←スライドレールの一例
8ミリ厚アルミ基板上に
スライドレール(LMガイド)
を2本使用して平行移動します。
ふつうはレール側をベースに固定するのですが、可動子側をベースに固定し、レール側をスライドさせるようにすることで、
ロー&フラット&左右対称なデザイン
にできました。 可動子を
キャリングハンドルに隠れる
ように中央に配置したため、メカが目立たない構造です。
また台座がフラットなためカメラ三脚に装着可能です。
鏡筒バンドを使用しない
もの本機の特長で外観的にシンプルにでき、小型化にもつながったと思います。
ひとつはファインダ取り付けベースをそのまま利用し、それだけでは弱いので同様の形状の鏡筒ホルダを作製しネジで鏡筒と固定しています。
鏡筒バンドを購入するより安く上がりました。 キャリングハンドルは10mm厚アルミ板で作りました。
にぎり部分には握力トレ用の
ウレタンゴム
を差込みました。
☆架台
ビクセンのHF経緯台は三脚、経緯台本体、汎用プレートの3体で組み合わせ購入ますが、このうち汎用プレートは内容の割に高価だったので自分で作りました。
耳軸
は旋盤で削り、中央にM8のねじ穴を開けました。
樹脂製の耳軸カラー
は消耗品でビクセンから購入できました。 (1個250円でした)
松本式架台のまねですが、
横棒式のハンドル
を取り付けました。
16ミリのアルミ角パイプ、φ16ミリのステンレスパイプ、M6ズンギリボルト、発泡ゴムパイプ(ちくわ状)を組み合わせて作りました。
☆使用感
月や鳥観望などに使用しています。アイピースはこの経緯台では25mmアイピース(倍率25倍、実視界2.6度)がそこそこ倍率があって取り回しも良く、
かっちりとした像を結ぶので一番気に入っています。今住んでいるところは休日に
熱気球
が飛んでくるので格好の観望対象になります。
数km先の熱気球のバーナー操作が手にとるように分かります。ただやはりアクロマートなので色収差があり、それ以上の倍率(38倍、71倍)では
空気のゆらぎも相まって日中はあまりクリアな視界ではありません。高倍率での月・惑星観望には90mmアポ2インチ双眼のほうが3倍ぐらい画質の情報量が
あるような気がします。
(2009年8月1日)
☆軽量化
HF経緯台に載せてしまえば重量は気にならないのですが、将来の大型BINOの習作の意味からどこまで軽くできるものかを試してみました。
BORG鏡筒はネジ接続が多く、ヘリコイドなど過剰品質なところもあり鏡筒自体が重くできていると思います。
下図のBINO状態の鏡筒質量が5.7kg→4.9kg(25mmアイピース付き)となり、800gほど軽くできました。
(2009年8月23日)
115g軽量化 430g軽量化
☆鏡筒取付部
鏡筒バンドを使用していないだけでも軽量構造とは思いますが、取り付け台座を徹底的にハチ巣状にしてみました。
このようなハチの巣にすることでの軽量化率は経験上がんばっても6割です。
向かって左はアルミの削り出しなので軽くなりました(2個で100→60g)ですが、右のファインダー取付け金具は「亜鉛ダイカスト」で
比重6.3g/cm3とアルミの倍以上の比重のためのためやはり重いです。(175→100g)
☆BORG鏡筒
ドローチューブ(前後にスライドする黒い筒)は不要のため、ホルダー(白い筒)とヘリコイドMとをネジ直結にしました。
残念ながらそのような純正のパーツは無いため、
7801
( M77.6→M68.8AD)という接続 リングのオスネジをM76に加工し直して接続しました。
125g軽量化 60g軽量化
☆台座部
プレート関係も強度的に不要な部分をフライスで切削しました。削った部分は外観から見えないように配慮しました。
軽量化と言う作業は与える機能が軽量化以外に無いのにやたらと労力がかかるし、切りくずが出ます。
☆キャリングハンドル
画像の下半分を二股にしたり穴を開けたりで60g軽くしました。
重量配分はこんな感じです。
(2009年9月13日)
■
76BINO 目幅微調整機構を追加
最近の観望会には80BINOと76BINOで出動している。
この2台、口径こそ近いが、80は赤道儀追尾架台で高倍率用、76はポルタ経緯台で低倍率用と使い分けている。
観望会の他メンバーは単眼か電視観望で双眼望遠鏡はこの2台のみ。 普及機鏡筒2本を束ねただけだが、
双眼による脳内ライブスタック効果で「これが一番良く見える!」と言ってもらえるとうれしい。
さて76のほうには目幅微調整機構はなくクランプ機構のみで締めると微妙に目幅が動いたりと使いにくい。
片手が空かないときもあり、さっと目幅セットするのが難しかった。
どこに目幅微調整整機構を入れるか? 平行移動台座にはそんなに十分な空間はない。
左はアイピース側の目幅クランプ機構、右は対物側
アイピース側はそのまままとし、対物側に目幅微調整機構を増設することにした。
3Dプリンター用の2条ねじユニットと手元ジャンク部品で主要部分のユニット(上)を作製。
平行移動台座にタップ穴を数か所追加して微動ユニットを取り付けた。
図は描けても実際には加工する工具が当たって加工できないというのはありがちな話。
BINOの全バラシ、再調整などは絶対避けたい作業なのでそこはちょっと考えた。
改造アフター。 対物側に目幅微調ツマミがあり、やや手が届きにくいがまあまあのものになった。
(2025年1月26日)
■
BINOマウントの製作
100APO BINOの仮置き架台
として年末に突貫工事で製作したのがこの架台です。
最近あまり出番のない この76mmBINOのマウントとして利用することにしました。
製作当初、水平・垂直ともボールベアリング支持で ものすごく軽く回って まるで無重力の宇宙船内でBINOが浮遊している感じだったのですが、
バランスが数グラム狂っても静止してくれません。 まったく固定力がないというのも不便でした。
両軸とも勢いをつけると何回転も惰性で回ってしまいそうです。 まあこういうのが好みの人もいるみたいですが。
もういちど100APO BINOを載せる余裕を保ちながら 76mmBINO用に低倍〜中倍率まで使えるよう改良を加えました。
このBINOマウントの特長は3つあります。
1.ウッドデッキの手摺に装着する構造
材料はアングル、角菅などの鋼材の廃材利用です。 手摺にねじり応力がかからないようにフォークは傾けず垂直としました。
100APOを再度載せられるよう、フォークは十分に長くしていますので、76BINOだと垂直軸は90°を越えて回せます。
ウッドデッキの手摺には上下から4か所ネジで挟んで固定するようにしています。
2.垂直微動に昇降竿(しょうこうかん)方式を採用
水平軸はポルタ経緯台の微動ユニットを採用しました。
垂直軸も同じようにしても良かったのですが、今となっては珍しい昇降竿方式にしてみました。
「昔欲しかった」 1970年代の日本のメーカー製の経緯台は 屈折も反射もこの方式が多く、欲しくても所有する機会がなかった自分は
すごくノスタルジーを感じます。 ただし そのまんまではなく グレードアップさせてはいます。
ネジには高精度の多条ネジを使用し、微動範囲は持ち替えなしで 0〜90°まで約10回転でいっきょに動きます。
クランプはなく、フリーストップでもありません。 昇降竿が微動と粗動を兼ねています。
3.改良版のカウンターウエイト(傾斜カウンターウエイト
)
100 APO BINOでは
偏心カウンターウエイト
というのを考案しましたが、2方向のバランスを取るのは面倒。 もっと良い方法はないか?
手持ちの2インチアイピースの重心位置を測ったところ、図のように2インチ取付面から28mm±5mmの位置にありました。
ということは この重心と垂直軸の中心を通る線上にウエイトをスライドさせれば一軸調整で前後も上下も一発でバランスが取れるはずです。
そこでカウンターウエイトのスライド方向を図のように斜めにしてみました。
ちなみに錘の質量は500g、 スライドさせる棒は 「ネジックレール1R」 という電設部材です。
前回は名付けて
「エキセントリック カウンターウエイト」
今回は
「インクラインド カウンターウエイト」
です。
重量級のイーソス17mmから軽量級の1.25インチアイピースまで交換しても垂直軸の前後と上下バランスが迅速にとれるようになりました。
天気が良くなさそうですが3月3日の皆既月食のお気軽観望に使えればと思っています。
(2026年2月28日)
■3月3日の皆既月食
前半はドン曇りでしたが、皆既が始まって以降はときたま雲間から赤い月を観望することができました。
イーソス17mmにスマホコリメートで撮影 (画像はボケボケですが眼視ではちゃんと見えました)
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